第25章 ありし日の僕ら 仁兎なずな
突然の展開に頭がついていかない。そのなずなくんの後ろから、ヒョッコリ現れたのはみかちゃんだった。
「なずな兄、立ち止まってどないした…………ってうおあああーーーっ!?あんた誰!?」
「ええええええええみかちゃんが赤いネクタイしてるぅぅぅぅーーーー!?」
「「ふぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」」
私達の叫びがシンクロすると同時に、Valkyrieの親玉は現れた。
「うるさいのだよ影片。ちょっとは………」
私の姿を見て、彼は少し考えるそぶりを見せた。
「影片、知り合いか?」
「全っ然知らん!!俺は知らんよ!!」
「ならば仁兎、君の知り合いか?」
「………」
なずなくんは黙ってフルフル首を振った。私はウソだろ!?とガックンガックン彼の肩を掴んで揺らした。
「ひ、ひどいひどい!!!わた………僕!!僕だよなずなくん!!あんずだよ~!!??」
髪型からして一年前の彼をひたすら揺さぶる。
妖精には会うわ一年前のなずなくんには会うわでてんやわんや。
……そしてその状況を素直に受け止める私を誰か褒めて欲しい。
「仁、仁兎に何をするのだやめたまえっ!!!」
「んあぁ!!なずな兄の首が折れてまう~!!」
2人が割って入ったことで、冷静になった。なずなくんは、フラフラしながらもポツリとつぶやいた。
「…………ぉもい……だした……」
「本当!?いやー!良かったよ、あのね!!頭のおかしい子だと思ってもらっても構わないから素直にぶっちゃけるね!!
僕は未来から来たの!!」
……………三人の視線がこの上なく冷たい。
とりあえず、妖精について説明した。
「馬鹿馬鹿しい。七不思議などただの迷信なのだよ。」
「なずな兄、この人ほんまに知り合いなん?」
「…………いる」
なずなくんは2人に向き直って、訴えた
「妖精は、いる」
………………どうやら
僕の知り得ない何かが蠢いているようで…
どうしようもなく、この現状を受け止めることだけ考えた。