第24章 無自覚は苦しい 乙狩アドニス
「テメー、卒業式にも出ないで何やってんだよ。」
「………色々ね。あーぁ、本当何やってたんだろ。」
あんずは、中学校の制服を着ていた。卒業式に出るつもりが、勇気が出せず結局サボったらしい。
「てゆーか、ウチのこと覚えてたんだ?」
「ダチを忘れるかよ。」
「…………友達?」
アイツはキョトンとしていた。俺様のことを友達とも何とも思ってなかったらしい。
「そっかぁ。友達。」
あんずは嬉しそうに笑った。笑った顔はその時が初めてだった。
「………オメー、高校は?」
「…行くよ。ちゃんと。女子高だけど。」
意外にも、受験はしていたらしい。
「もう、ケンカはやめるよ。」
「そーかよ」
特に話すこともない。俺様は踵を返した。
「ありがとう、コーガ!!ウチ、強がるのはやめるよ!か弱いから守ってってアピールしてくよ!!」
あんずの…心からの本音だろう。俺様は思わず立ち止まった。
「んじゃ、いざとなったら俺様を呼べ!ちゃんと守ってやんよ!ダチだからな!」
「約束……!約束だからな!!」
お互い、それが最後だと思ってた。もう二度と会うことはないと。
「…………上手くやれよ。」
だから、そんな無責任なことが言えたんだ。
「つーわけで、俺様はアドニスがちゃーんとあんずを守れるか確かめなきゃなんねーんだ。わかったかスケコマシ!」
「……何だか、カップルのなれそめにしか聞こえないんだけど。」
そんなことはない。私と大神はちゃんとした友達だ。
「やはり、うらやましい。俺も中学のときのあんずに会いたかった。」
「はん、アイツはそれを望まねーだろーよ。オラ!とっととあんず探しに行ってこい!」
「言われなくても行く。だから蹴らないで欲しい。」
と……言う流れでアドニスくんは私を探してくれていたらしい。
はてさて、私はこの頃どうやって面倒くさいことに対処していたっけな?