第24章 無自覚は苦しい 乙狩アドニス
「何?知り合い?」
「後輩」
これはしょうがない。久々にスイッチを入れなければ。
「あっは!!じゃあ久々にあんずとケンカできちゃう!?」
「ウチが勝ったら潔く鉄虎くん返せよ!」
カバンを置いて殴りにかかる。とっくみあいのもみくちゃになって…鉄虎くんはポカンとしていた。
しかし………決着は割とすぐについた。
「相変わらずよえーなぁ…」
「また負けたぁ!」
「あんずのばかー!鬼ー!」
ヤイヤイ叫びながら彼女たちは逃げていった。
ポカンとしている鉄虎くんに、しょうがないから中学のときのことを話した。
「も、申し訳ないっす姉御……自分、女の人に手を上げたくなかったっすよ……。ごめんなさい、せっかく更生したのに……!!」
「いいの、いいのよ…。」
「だって、姉御!!顔に怪我を!!」
「…………いいの」
顔に拳がかすったのか、頰が切れてたし…まともにパンチくらったし、あざになっているだろう。
その他にも色々ケガはしたが、病院に行くほどではない。
「よし、帰ろう。歩ける?」
「は、はいっす………」
不安だったので鉄虎くんを家まで送り、私も家に帰った。顔のケガを家族にヤイヤイ言われたが、中学のときのこともあるので慣れっこな様子。少し怒られて終わった。
今日も一日UNDEADのレッスン。
顔に湿布やら絆創膏をはって登校したので……大神にめちゃくちゃ怒られた。
「テメー!それじゃ更生した意味ねーだろーがぁ!!!しかも何顔にケガしてんだよ!!!」
「あーもー、しょうがなかったの!!」
胸倉つかんで怒る大神を必死になだめていると、アドニスくんがレッスン室に入ってきた。
「おいアドニス!!おめーからも何か言ってやれ!」
「………!?ど、どうした、そのケガ…?」
「ケンカしたんだとよ!ありえねーだろ全くよぅ…」
アドニスくんは他にケガはしていないのかとかひたすら私の心配をしてくれていた。
三年生二人もやって来て、軽いお叱りを受けてしまった。