第24章 無自覚は苦しい 乙狩アドニス
「そういえば、中学のときの嬢ちゃんとはどんなものだったんじゃ?」
「そりゃ色々あるけどよ~。一番は………金属バットのヤツだな。」
朔間先輩と大神の会話が聞こえて、ギョッとした。頼むからその話だけはやめてくれと頼み込んだが、思いのほか朔間さんを含め他の三人が食いついていた。
そのため、大神は私の制止を振り切って話しだした。
ー大神視点ー
「おい、てめー。」
「あ?」
同じクラスにはなったことはねーけど、確か3年間ずっと隣のクラスだったな。
だから二クラスで合同の授業なんかじゃよく顔を合わしてた。と言っても、あんずは授業にあんま出てなかったし、喋ったのはあん時ぐらいだけど。
珍しく授業に顔を出していたあんずは、いつも通りスカートをこれでもかっつーくらい短くして、机の上に足をのせて………俺様の席に座っていた。
「そこは俺様の席だ。」
「はぁ?前授業出たとき、ここだったんだけど」
「席替えしたんだよ、さっさとどきやがれ。テメーの席は俺様の隣だ。」
それが、俺様とあんずの出会いだ。お互い元々知っていたし…喋ってみると話が合ったんなよな。
授業の話なんかろくすっぽ聞かねーで、ずっとくっちゃべってた。
「コーガって、喋ってみっと面白いのな!」
「テメーもな!」
授業が終わる頃には意気投合してて……まぁ、問題はその放課後だったけど。
方向が同じだったから、一緒に帰ってたんだ。そしたらよ
「あれ?あんず彼氏できたの?」
「マジウケルー」
と、頭を金髪にそめて大して可愛くもないのに化粧した……典型的な馬鹿二人組が話しかけてきたんだよ。
しかも、金属バット持っててよ。
「………あ、チキショー忘れてた。ケンカの約束入ってたわ。」
何だよ、ケンカの約束って…とかなんとか俺が言う前に、あんずは金属バットを持った二人に突進していったんだ。
自分の目を疑っちまったよ。
十分後には、体中あざだらけにして
「ウチの勝ちぃっ!!」
とか言ってボロボロの馬鹿二人組にアイスおごらせてるんだからよ。
そんな感じに、ある意味俺様たちの中学では伝説のヤツだったよ。