第23章 君が大好きな私へ 氷鷹北斗
「すまなかった」
反省文を書いてる途中で、氷鷹くんは呟いた。とっくに書き終わった彼は、ジッと私を見ている。
私もちょうど書き終えた。
さて、そろそろ本当の事を話さないと。
「私、日々樹さんと付き合ってた。」
彼の顔が、変わった。悲しいのか、怒ってるのか……分からない。
「付き合ってた…と言って良いのかな。私も、よく分かんなかったし。
演劇部の勧誘なんて、ウソ。でも、生徒会長にfineの専属プロデューサーとして誘われたのは本当だよ。でも、生徒会長は…無理やりに、とかそんなことしなかった。」
氷鷹くんはまだ何も話さない。私の話の続きをただ待っている。
「…私が休みだした前の日に日々樹さんがね、
別れましょう
って言ったの。
あの人は、ちゃんと私とお付き合いしてたつもりだったんだって。笑っちゃうよね。私は………全然……そんなこと、夢にも思ってなかったのに。」
そこで、また涙が流れてきた。氷鷹くんが、小さな声で…
「……好きだったのか。」
そう言われて、胸につっかえていたものがとれた気がした。
言ってしまえ。そうしたら楽になる。
学院休んで、変な心配かけて。自分で勝手に悩んで……何回も何回も泣いた。
それは、きっと……
「……ッ…好き、だった………大好きだった……ッ!!」
恋だったかと聞かれれば、確かに恋だった。しかしもう、あの人は………私の好きな人ではなくなっていた。
好きな人のことを好きだと気づけず恋が終わった
悲しくて、苦しくて……
「そうか」
氷鷹くんが優しく微笑んだ。
「それを聞けて良かった。話してくれて、ありがとう。」
私もありがとうと言いたい。
しかし……しばらくは、涙が止まるまでは、言えそうにないなぁ。