第23章 君が大好きな私へ 氷鷹北斗
「ただの貧血だな。」
陣先生のその一言ですごく………すごく安心した。
「すまないね、貧血一つで情けない。でも、君のおかげで助かったよ。」
保健室のベッドで横になった生徒会長は、氷鷹くんに微笑んだ。
「…盗み聞きをしてしまってすまない」
「いやいや、君が僕をここまで運んでくれなかったらただの貧血でもどうなっていたかわからないからね。」
彼が内緒、と言ったのはこういうことか。
私達は保健室から出て、教室に帰ろうと歩いていた。
昼休みが、終わってしまう。
「それにしても、氷鷹くんが盗み聞きするとは思わなかった」
「いや……もしかしたら、あんずがfineに行ってしまうのではないかと………」
「何で?」
自分でも驚くくらい怒った声だった。氷鷹くんは驚いて目を見開いていた。
「そんなに信用ない?」
「いや……違う。本当に、すまなかった…」
「………もう知らない」
あぁ、私ってば面倒くさい。
「しかし、あんずも俺たちに今回のことを何も話してくれなかったし……お互い様だろう?」
氷鷹くんが言った言葉に、ブチッと何かが切れた。
何にも知らないくせにっ!!!!
「氷鷹くんなんて、大っ嫌い」
_____私は何を言ってるんだろう。
何が悲しくて泣いている?
氷鷹くんは何も悪くないじゃないか。
氷鷹くんが何にも知らないのは私が話してないからじゃないか。
ほら、謝らなきゃ__ごめんって_
私はこの時ほど自分が馬鹿だと思ったことはない。
そのまま走り去ってしまった。氷鷹くんが追いかけてきているのはわかったが、止まる気はない。
逃げ切れそう、だったのに。
逃げ切れたら良かったのに。
副会長に捕まってしまった。その間に、氷鷹くんは追いついてくるし、二人で反省文を書くことになった。
本当に、ついていない。