第22章 君が大好きな俺へ 氷鷹北斗
中に入ると生徒会長が倒れていた。理由は、ただの貧血で大したことはなかったらしい。
しかし、生徒会長より大変なのは……
「すまない、許してくれ」
「……………もう知らない」
盗み聞きしていたことが当然のようにバレてしまい、あんずが顔を背けてすねてしまった。
「しかし…あんずも俺たちに今回のことを何も話してくれなかったし、お互い様だろう?」
何とか機嫌を直そうとしてそう言ったのだが、顔を背けていた彼女がこっちを見たとき___
「氷鷹くんなんて、大っ嫌い」
泣きながら、彼女は走り去った。
しばらくポカンとしていまが、慌てて追いかけた。何だ?俺は何をした?
「待て、待ってくれ!!」
意外と足の速い彼女だ。追いつけるだろうか?
「こら、廊下を……!?」
少し先で、あんずが副会長に捕まっていた。しかし副会長はあんずが泣いてるのを見てギョッとしていた。
その間に、追いついた。
「すまない…おそらく、俺のせいだ」
「……何があったのか知らんが、廊下は走るなよ。そして泣くな。」
副会長がそう言っても泣き止むはずもない。
「ふむ、どうやら複雑な事情があるようだな。しかし氷鷹がいじめをするとも思えん。反省文で勘弁してやろう。」
と言われ、教室で反省文を書くこととなった。この頃にはもうあんずは泣き止んでいて、ひたすら反省文を書き綴っていた。
「………すまなかった」
途中でポツリと呟いた。俺はとっくに書き終わっていたから。
「………私」
あんずも書き終わったようで、手を止めていた。
「氷鷹くんに一つだけ言わなかったことがある。」
あんずはどこか遠い目をしていた。
「氷鷹くん…だけじゃなくて、皆に言ってないこと。私ね…………………
日々樹さんと付き合ってた。」