第22章 君が大好きな俺へ 氷鷹北斗
「………うーん、4人もいるから言いにくいのかなぁ?」
「よし!じゃあ誰か1人残って、他の3人は出て行くか!」
「……全員出てって」
あんずの呟きなど聞いてはいない。俺たちはジャンケンで勝った奴が残る、ということにした。
「うむ、それでは衣更が残ることに……」
「………え」
あんずの顔がまた真っ青になった。そして言いにくそうに
「…………衣更くん、以外で…」
と言った。しかし衣更は落ち込むこともなく冷静だった。
「もしかして、生徒会関連か?」
「……………」
あんずは何も言わないがきっと衣更の言うとおりであろう。
「じゃあ、2番目に勝ったホッケーで良いじゃん!」
「俺か?」
「リーダーだしさ!んじゃ、出て行くね!」
そうして3人は出て行った。あんずはチラチラと俺を見てくる。
なかなか話さないので、少しイライラしてきたが……怯える彼女を見ては、あまり強くは出られない。
しかし、しばらくしたら話してくれた。
ようやく話しだしたその内容は……
「………またあの変態仮面は」
「プラス生徒会長」
演劇部に誘われた上にfineの専属プロデューサーにも勧誘されるとは…。返事をしかねているから逃げるように学院を休んでいるなんて、想像もしなかった。
あんずは血の気のない顔に……何だか全てを悟ったかのような明るい微笑みを浮かべた
「まぁ……なるようにしかならないのかもね。」
「む?どうした?やはり変態仮面のせいで精神的に何かあったのか?」
心配する俺をよそに、彼女は明るくこう言ってくれた
「今日はありがとう。すっごく楽になったかも。」
その笑顔を見て……
まぁ、安心はした。
「……そうか、ならば今日は帰ろう。ずいぶん長くお邪魔してしまった。」
「うん…。ありがとう」
俺は部屋を出て、リビングであんずの弟とゲームをしていたアホコンビと衣更に事情を話して家へと帰った。