第21章 大正歌劇に迷い込む 守沢千秋
……いよいよ夢ではないのではなかろうかという疑問が強まってきた。
あの後日記をしまって眠った私は、夢を見ている。
夢の中で…ドッペルゲンガー?というか……もう一人の私に会った。
「ごめんなさい」
「………?」
「私が、消えたいなんてお願いしたから…」
もう一人の私は泣きながら謝った。
「もしかして、大正時代の…?」
「はい。」
よくよく見れば、彼女は夢ノ咲の制服を着ていた。
「どうやら、あなた様と入れ違ってしまったようで……」
「……君の*はじゃん…」
「申し訳ありません。あの夜、流れ星が見えましたの。それでお願いしたんです。消えたいって…」
「はぁ、そりゃまた何で?」
すると彼女は、震える声で説明してくれた。
……守沢さんとはお付き合いをしていた。しかし、彼には親が決めた結婚相手がいた。その人は良家のお嬢様であった。
守沢さんは親が決めた結婚相手ではなく自分と結婚すると言ってくれた。しかし、自分と結婚するよりその人と結婚してほしかった。
その結婚のプロポーズをされた日の夜に、流れ星が流れたらしい。その流れ星に………守沢さんの前から消えたい、と願えばこうなってしまったという。
「ええぇ!?何それ!!」
「ごめんなさい、私もわからなくて…」
そりゃあそうか。私は必死に冷静さを取り戻した。
「…ていうかさぁ、守沢さんの結婚承諾したんでしょ?何でそんなこと流れ星にお願いするの?」
「その時はつい、嬉しくて…。私のような庶民と結婚するより、良家のお嬢様と結婚するのがあのお方の幸せなのです。」
「何言ってるの、平成からやって来たとかほざいてる頭おかしい奴に婚約者として守るって言ってくれたんだよ!?」
「ですが………」
駄目だ、らちが明かない。
「大丈夫、私が元に戻る方法探すから!」
「…………違うんです、私はもう」