第21章 大正歌劇に迷い込む 守沢千秋
料理人の味が一番あらわれるのは味噌汁………ということで、味噌汁を作って食べてもらった。
「…………い………いつもの姉御の味っす!!!」
「うむ!いつもの味だ!!」
「料理は問題ないな。」
皆味噌汁一つで喜びすぎね!?私の不安は何一つ解消されないよっ!!
「お前達、何で晩飯前に味噌汁なんて飲んでるんだ?」
「お腹が空いたぞあんず殿!今日の夕食は何であるか!?」
どうやら、これで五人揃ったらしい。
蓮巳さんと、神崎くんに3人が一通り説明してくれた。
「ばかばかしい。4人で俺達を馬鹿にするのか?」
「馬鹿になんて、してませんよ。……もう私には皆がおかしいようにしか見えないのに…私が変なの…?」
何だかひどく疲れた。
夕食は、皆外で食べてくるからもう休めとのことだった。
あぁ、お腹空いた。味噌汁作るだけ作って食べてなもんね…。
多分、皆とずっとここにいた…別のあんずさんが炊いたであろうご飯を、おにぎりにした。
「あんず、俺の分も握ってくれ!」
「あれ?守沢さん食べに行ったんじゃないんですか?」
「いや、お前を一人にはできんからな!」
ということで守沢さんの分も握って私の部屋に持って行った。
なるべく話をしてやるのがいい、と朔間さん言ったとおりに守沢さんはたくさん話を聞かせてくれた。
「…やはり、何も思い出せないか?」
「そうですね~?」
「………あまり、混乱させない方が良いと思っていたんだが……」
珍しくしんみりとして話し続けた。
「実は、俺達は恋仲だったんだ」
「…………………はい!?」
「この警察署の人間の皆がこの事を知っていて、あえて俺を残してくれたんだ。そして昨日………
お前に結婚を申し出て、お前は承諾してくれた。」
話の展開にのうがついていかない。
つまり?私と守沢さんは付き合ってて昨日結婚のプロポーズされて私はオッケーしたってことでしょおおおおおお!?!?
は、果てしなく人違いですと言いたい……っ!!!
「すまない、混乱させてしまったな。しかし俺は、お前を………婚約者として守る。それだけは覚えていてくれ。」
そう言って守沢さんはギュッと私を抱きしめた。
何だかだましている罪悪感に襲われてしまう。
お願いします。夢ならば、今すぐさめてください。