第21章 大正歌劇に迷い込む 守沢千秋
もう、怪しまれたくないし全て知らぬ存ぜぬで通すことにした。
「どこ出身かの?」
「知りません」
「ここのことは?」
「知りません」
「こやつら…鬼龍くん、南雲くん、守沢くんのことで覚えてることは」
「いっさいございません!」
建物の中、私の部屋だというところに連れて行かれお医者さんの質問にひたすら答え続けた。
ていうかお医者さん朔間さんなんだけど!?もう反応しない!知ってる人出てきても反応しない!!!
「う~む。頭以外におかしいところはないのう。どこかしたたかに打ち付けたあとのないし……。」
「先生!あんずはどうしたら元に戻るんだ!?」
どうでも良いけど守沢さんが朔間さんを先生って呼ぶの笑いそうになるんだけどマジで。
「記憶が戻るかどうかは不確かじゃが……頭がおかしくなる前と同じ生活をさせておやり。何か記憶を取り戻す手がかりになるやもしれん。
そして、たくさん話をしてやるのがよかろ。一人にさせてはなにをしでかすかわからんからの。
では、お大事に。」
そう言い残して、朔間さんは帰っていった。
「……話か」
「じゃあ、まずここがどこで俺らが何者で嬢ちゃんがなにをしてたかだな。
ここは警察署だ。俺らは警察官。この警察署には警察官が五人いてな。二班に分かれてる。
紅月班と流星隊班だ。」
………………………マジか
じゃあ他にも人は……いや、五人って言ったなこの人。
ていうか流星隊班って隊なのか班なのかどっちだ。
「んで、嬢ちゃんはここの住み込み家政婦として働いてんだ。飯作ったり掃除したり洗濯したりな。」
「まさか、姉御料理の仕方まで忘れてるとかッ…!?」
…………平成時代の料理なら作れるが、大正時代の料理は………
「………自信、ないかも」