第20章 鬼ごっこ 逆先夏目
あっけにとられ動けない犯人。あんずはもう一度叩こうとしていたが、夏目が止めた。
「………もう良いヨ」
「でも…っ!」
「そんな顔しないデ」
夏目は半泣きの彼女をなだめた。また怒りのあまり泣いているようだった。
「この人は任せてください。職員室に連れて行きますよ。」
その間に犯人を再び抑えた渉が、微笑んでそう言った。
「れいもまほうつかいさんも、だいじょうぶですか…?」
「もう何ともないヨ。ありがとう奏汰兄さン。」
「吾輩も大丈夫じゃそい。突然の攻撃にビックリしてしまったわ。」
「もう遅い時間だからね。小娘を送っていくといい。あとは僕達が何とかしよう。」
とうとう泣き出してしまったあんずの背中を押して、夏目は先輩達にお礼を言って学院をあとにした。