第20章 鬼ごっこ 逆先夏目
「夏目が死んだと思った~っ!!!!」
そう言ってワンワン泣く彼女を夏目が一生懸命なだめた。
「あんなんじゃ死なないヨ……。ていうか、あんずもすごかったじゃなイ。パンチ受け止めてサ。」
話を逸らそうとすると、意外にもあんずはケロッと涙を引っ込めた。
「弟と喧嘩するときはだいたい殴り合いだから~。」
「何そレ………。怪我しないでネ?」
「平気平気~!」
すっかり元気になったあんずに夏目は安堵した。
そうこうしている間に、あんずの家が見えてきた。
「じゃあね~!また明日!」
「good night … 子猫ちゃん」
「夏目大好き!今日はありがとう!!!」
去り際にそう言って彼女は去っていった。
全く、泣いたり笑ったり怒ったり本当に困った彼女だ。
それでも夏目は彼女が大好きだった。
それを、夏目が彼女に直接言うことはないけれど………
あんずには伝わっている。
だから彼女はそんな夏目の分も大好きと言い続けるのだ。
夏目は家に入っていくあんずを見届けて、ようやく自分の家へと帰っていった。