第20章 鬼ごっこ 逆先夏目
「ありり?夏目いつの間に…」
「話は後デ……!あんずをストーキングしてたのは君だネ。後日と言わず、今日話し合おうカ?」
夏目の威圧に犯人は数歩下がった。しかし次の瞬間には2人に背を向けて逃げ出してしまった。
「に、逃げたっ!!待て待て~っ!!!」
「子猫ちゃン!?」
あろうことかその犯人をあんずが追いかけた。いやいや何をしているんだ。
「あぁもウ!!兄さん達聞いてタ!?作戦変更で犯人を追っテ!!」
『了解です。何だか楽しくなってしましたね!amazing!!』
『あんずさんはどうするんですか~?』
「僕が止めるかラ!」
図書室で何やら考えこんでいた零が、念のため奇人達を集合させていた。その五奇人の先輩達に、夏目はあんずを見つけ出すために手伝ってもらっていたのだ。
まさかあんず自ら犯人を追いかけるとは思わなかったもので、大変なことになってしまった。
「しかし、どうしてっ!僕までッ!!」
「全力疾走で喋ると舌をかむぞい。まぁ、五奇人のよしみとやらで後輩の恋路を応援してやるのもよかろう?」
「よるのれいはげんきですねぇ~」
「ふふふ、情けないですよ宗!これしきのことで息切れとはっ!」
奇人達の頼もしいこと、話しながらでもちゃんと犯人を追い詰めていた。
その犯人を追っていたあんずがいないのを見ると、もうとっくに夏目が捕まえたようだった。