第20章 鬼ごっこ 逆先夏目
「子猫ちゃ~ン……って零兄さんもいたんだネ。」
「話がはずんでのう?」
「部活お疲れ~。」
部活を終えた夏目が図書室へやって来た。部活中もあんずのことが気になってしょうがなかった彼は、何もなかったか聞いてみた。
「気配感じただけねぇ?」
「…………全然だけじゃすまないんだけド」
「大丈夫だって~。零もいてくれたし、こういうのは学校の中限定だからぁ。」
夏目はそれを聞いて自分の堪忍袋の緒が切れる音を聞いた気がした。
つまり、彼女は、学校内でのみ、ストーカー被害にあっている、ということなのだ。
「何でもっと早く言ってくれないノ!?」
「夏目聞かなかったし~。まぁいっか~って。」
「全然良くなイッ!!!!」
まだ怒りたりない夏目は間髪入れず怒鳴ろうとした………
だが、あんずがウルウルと目を潤ませてることに気づき冷静になった。
「うぅ~!!夏目のバカッ!!!」
「へブッ!!!」
綺麗にあんずが投げた鞄があろうことか顔面にヒットした。彼女はそのまま図書室を出て行ってしまった。
「あ、あんの子猫ちゃんハ………ッ!!」
「……気持ちは分かるがの、一人にしない方が良いのではないか?」
「……し………しまっタ……ッ!!」
あたふたと慌てる夏目に、零が落ち着けと声をかけた。
「確かに、あんずの嬢ちゃんにも非はあるが………。あれが彼女じゃ。彼女も彼女なりにあの性格をなおそうと頑張っているのではないか?
守れてはいないが、一日三回のまぁいっかは守ろうとはしていたぞい。」
「…………わかってル、つもりなんだけどサ。」
夏目は自分の鞄とあんずの鞄を背負い、急いで図書室を出た。
その後零は、一人図書室に残って何やら考えこんでいた………