第20章 鬼ごっこ 逆先夏目
図書室に着いたあんずは、適当に興味のある本を選んで席について読んだ。
(…………な~んか気配を感じるな~?)
あんずは思い切って声をかけてみた。
「誰かいるの~?図書委員の人ぉ?」
しかし返事はない。不気味さを覚えつつ結局はまぁ良いかで落ち着いた。
やはり気配は感じるが、気にしないことにした。
「おや嬢ちゃん、読書とは感心じゃのう。」
「あ~、零だぁ~。」
基本、あんずは目上の者に対する礼儀というものを全く気にしていない。
怒られるときもあるが、全く彼女は動じない。だから3年生の零相手にこんな口を聞いてもあんずは謝りもしないのだ。
(……まだ、気配がするし零じゃなかったのかぁ)
じゃあ誰だろ、と考えつつあんずは零に話しかけた。
「ねぇ、何か気配感じない~?」
「ククク、そういうのは堂々と言うものではないぞ?」
「でも気になるんだなぁ~。」
「おや?お得意のまぁ良いかはどうしたのかの?」
「まぁ良いかは一日三回~って夏目がね。」
それを聞いた瞬間に零は高笑いをした。あの夏目がそんなことを言うとは。
「おや、こんなことを話しているうちに気配が消えたのう…?」
「あ~…………。夏目ごめんなさい、まぁいっか~っ!」
どうやら夏目が言ったことは大して意味がなかったらしい。
零は少し心配になったので夏目が来るまで彼女の側にいることにした。