第20章 鬼ごっこ 逆先夏目
「エ?今なんテ?」
「だからぁ、最近……下駄箱に盗撮されたっぽい私の写真とかがね~。あと、誰かの気配を廊下歩いてたら感じたりね~?」
「………そレ、いつかラ?」
「覚えてないな~?いつだろ。」
まったりおっとりしたあんず。
休み時間に、何か面白い話はないかと話しかければ全く面白くない話をされた。
まぁ夏目は彼女のそんなところを悪いと思わないし、むしろ好きだ。しかし………
「何で気づいたときに言ってくれないノ」
「まぁいっか~って。」
「いやいや良くないよくなイ。」
何でこうも呑気でいられるのだろうか。彼女は今、明らかストーカー被害にあっているというのに。
「あのねェ………」
「ん~?夏目ぇ、チャイムなっちゃうよ~?おっちんとんしなきゃだよ~?」
「何その小さい子を見る目ハ……」
夏目はまったりおっとりなあんずの性格をどうにかせねば、ともんもんと考えながら次の授業時間を過ごした。
それが最後の授業だったので、チャイムが鳴れば皆ワラワラと帰りだした。
あんずもちゃっちゃと荷物の整理をして帰ろうとしていた。
「待っテ」
「なぁに~?」
「一緒に帰ろウ」
「でも今日、ゲー研の日でしょ~?」
「それでも一緒に帰ろウ。図書室にいててヨ。」
ストーカー被害にあっている彼女を1人で帰すなんて彼氏の夏目にはできなかった。
あんずはそんな心配を気にもとめずゆったりした足取りで図書室へと向かっていった。
ゲー研に誘っても良いが、あんずは頑なに部活をやりたがらないのでそれもできない。
心配ごとの絶えない夏目は、ため息をついてゲー研の部室へ向かった。