第3章 深海奏汰
「立っているのも疲れるので座りましょう~?」
と言われパニック状態の私に気づかず奏汰先輩は私を座らせた。しかし体制は変わらず先輩は私をホールドしてご満悦だ。
「みはると日なたぼっこするの、楽しいです~」
「……」
私はそれどころではなかった。問題は透けた制服がいつバレるかだった。
(うぅ~…先輩嬉しそうな顔してるなぁ……!ここでさよならって訳にも…)
「みはる…どうかしましたか?」
「い、いえ…何も…!」
「………あ」
奏汰先輩は何かに気づいたようにとある1点を見つめた。
「…あ、いや、その!」
「それでずっと隠してたんですね~。これどうぞ~。間違って持ってきちゃったんです」
奏汰先輩が私にかしてくれたのはサマーセーターだった。
「今日は暑いですから僕はきません。使ってくれて良いですよ。」
「あ、ありがとうございます……でも今着るとぬれちゃうから、かわいてから着ますね」
「はい。そうしてください。ところでみはる」
先程までニコニコしていたのに、みるみるうちにしょんぼりとした暗い顔になった。
「最近、流星隊のれんしゅうが少ない気がするんです…。ちあきに聞こうとしてもすぐにどっか行っちゃうんです……。しのぶもみどりもてとらもなんです……」
……………流石正義のヒーロー。嘘は苦手なのかな……。
適当に誤魔化せばいいのに…
「…僕、何かしたんでしょうか…」
いや何かしたというか何かされるというか…。うーん、何て言ったらいいんだろう…
「みはるは何か知ってますか?」
「いえ…どーしたんでしょうねぇ皆さん。いつも仲良いのに……」
奏汰先輩は悲しそうにシュンとしていた。私はそんな先輩を可愛いなぁと見つめていた