第3章 深海奏汰
「すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんっ!!!」
「謝らなくて大丈夫だよ~!最近暑いからお水かけてもらって嬉しいくらい~!!」
校内を散歩していたら校内アルバイトで花壇の水やりをしていた紫之創くんに水をかけられてしまった。
「本当大丈夫だよー!顔あげてよ~!」
「うぅ…本当にすみませ……!」
紫之くんはその直後バッと顔を逸らしてしまった。私は理由が分からずどうしたのか聞いてみた。
「えっと…その……す、透けてますっ……!」
「へ?………わぁぁぁ~っ!!」
夏なのでセーターは着ていなかった。なのでガッツリ透けていた。
「う、うぅ~!どうしようどうしよう…!!」
紫之くんは顔を真っ赤にしてアタフタとしていた。体操服を持っていないので凄く困る。
「夏だからすぐかわくかなぁ…?かわくまで大人しくしとくよ~。」
「ううぅ…本当にごめんなさい!職員室で着替えを借りられるか聞いてきます!」
「いいよ~。アルバイト中なんでしょ?大丈夫だから、頑張って?」
私はどこに行ったらかわくかなぁ…と考え、日当たりの良い屋上へ行くことにした。幸い、途中で誰にもすれ違わなかった。
「ぷかぷか…」
「せ、先輩?」
しかし、屋上には奏汰先輩がいた。
「あ、みはる~。せいふくをかわかしてるんです。屋上でかわかすと……」
そこまで言って奏汰先輩は話すのをやめた。
「…みはるも水浴びしてたんですか?」
「んー。色々あったんです。」
お互いびしょ濡れなのは初めてだ。私は場所を変えようと踵を返した
「一緒に日なたぼっこしましょ~?」
後ろからぎゅっと抱きしめてきた。いつも通りの行為だったのだが…
濡れた制服に髪からしたたる水滴。
こんなの、初めてだ。
「あれ?みはるが真っ赤になりましたね~?ねつでもあるんですか?」
そうして更に密着してくるもんだからいてもたってもいられなかった。