第19章 思わず目を見開いた、あなたの正体 瀬名泉
「それじゃあ、女王様のとこまでいこうか。あのクソオカマには会いたくないけど…」
「クソオカマ?」
何だろう、次に出てくる人が安易に想像できる。
「じゃあ、女王様のお城に行こうか。」
泉先輩がパチン、と指を鳴らした。その瞬間、周りの景色が変わった。
「わあ~っ!!オシャレたわ!」
「俺には悪趣味にしか思えないけどねぇ…ここは女王様のお城だよ。」
一面赤いカーペット。キラキラ輝くシャンデリア。白いレンガに飾られた見たこともない花たち。
「ほら、アリス。行くよ。女王様は屋上にいるはずだからね。」
「あ、待ってください泉せっ………帽子屋さん!!」
中央の階段をのぼる先輩を小走りで追いかけた。
「すごいっ!シンデレラ階段ですね!!いいな~、こんな所に毎日住みたいっ!!」
しばらくのぼっていると行き止まりに。目の前には大きな赤色の扉。
「このドアを開けると二階。実は、この二階の次が屋上でねぇ?けっこう小さいんだよ、このお城。」
ガチャッと先輩が扉を開けた。そこは………
「………何て大きいのかしら…!?」
二階の部屋には大きなお菓子ばかりだった。マカロン、クッキー、スコーン、シュークリーム………
どれくらい大きいかというと、私の………そうね、5倍くらい。
「どうやら、食いしん坊がいるみたいだねぇ。」
「食いしん坊………って、まさか、ね…」
お願いまさかであって!という私の祈りも虚しく、ズシン、ズシン、と大きな大きな………
司くんが私達に近付いてきた。
「あなた達は、誰ですか……?まさかこの、私のお菓子達を狙って……!?帰りなさい無礼者!!」
そんな大きな体で怒鳴られたら鼓膜が潰れる。私が耳を塞いでいる横で、帽子屋さんはのほほんと鼻歌を歌っていた。
帽子屋さん、…………耳栓してる