第19章 思わず目を見開いた、あなたの正体 瀬名泉
「んもぅっ!!王様ったら………っ!?」
目を覚ましたら、王様はどこにもいなかった。
目の前にはやはり森と、大きな大きな池が。
そして、池に映った自分の姿を見て驚愕した。
「な、何よこの服……!?」
フリフリの水色のエプロンドレスだった。
「こ、こんな姿を王様に見られたの……?」
「ふにやぁ~~?何なの……?さっきからうるさいよ~。」
「………凛月くん?」
木の上には、紫と青のしましま模様の猫がいた。
でも、声は凛月くん。
あれ…………?どうして猫が喋ってるの………?
「凛月~?俺はチェシャ猫だよ~?ニャー」
「はぁぁ……、猫のように眠りすぎてとうとうそんな姿にっ……!」
「ちょっと?何泣いてるの~?何かよくわかんないけど、困ってるなら帽子屋の所に行っておいで~?池の向こうにいるから…………ふぁぁ、俺は寝るね~?」
と、凛月くん猫は眠ってしまった。
………池の向こうに?どうやって渡るのよ、こんな大きな池…。
「しょうがないわねぇ…」
靴と靴下を脱ぎ、池に足を入れる。
「………浅ッ!?」
見た目に反して、深さは10センチほどだった。
「心配して損したわ!」
浅いことに安心して、私はズンズン進んでいった。そして池の向こうにたどり着いたとき。
「ようこそ~?ほら、足が濡れてるでしょお?ほらタオル。君は、アリスでいいのかな~?」
「い、泉先輩!?」
まさかの、彼氏の泉先輩。
「泉先輩ぃ?俺はぼ、う、し、や!さぁ、足を拭いて?ティーパーティーをしよう。」
足を拭くと、先輩が私の手を取って……森には不似合いな大きくて丸いテーブルがあった。
その上にティーポットとティーカップがあった。
「さぁ、アリスはミルクと砂糖どっちがいいかな?」
「さ、砂糖で…」
「じゃあ、角砂糖を5個入れよう。」
5個ぉ!?入れすぎじゃないっ!?
………とか思ってたけど、意外と美味しかった。
「それはね、魔法の角砂糖なんだよ~?大きくなる魔法と、小さくなれる魔法がかかってるからね。心の中で大きくなりたいとか、小さくなりたいって願うんだよ?」
「はぁ…………。泉先ぱ…帽子屋さん。何か、皆変なんですけど…どうしたら元に戻りますか?」
思い切って聞いてみると、先輩は考えこんだ。