第3章 深海奏汰
「うぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!
奏汰ぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!」
私は翠に引っ張られながら息を切らして最後に到着。翠は従兄弟なので手をつないでも大丈夫なんです
噴水にはいくら千秋先輩が叫んでもムスッとして無視をしている奏汰先輩がいた。
「奏汰!すまなかった!俺はどんな罰も受ける!俺はっ…!正義の味方失格だぁぁぁ!!」
「漢の中の漢を目指すこの俺が…!仲間を放っておくなんて…!大将に合わせる顔がないっすぅぅー!」
「落ち着くでござる!二人とも!」
噴水前で叫び散らす二人を見ていてチラホラと噴水前を歩いている人達が足早に去っていく。
「奏汰先ぱ~い。」
ムスッと頬を膨らませて返事をしてくれない。千秋先輩も鉄虎くんは相変わらず叫び散らしている。
「…あんまり騒ぎになると怒られちゃうよ~。」
「ただでさえ深海殿は目をつけられているし…まずいでござるな~!」
「翠~、何とかして?お願い…」
翠は自分のブレザーのポケットからイルカのオモチャを取り出した。
「…こないだ買ったゆるキャラの、オモチャ……」
すごく名残惜しそうに私に渡してきた。私は可哀想になって新作のゆるキャラを翠に渡した。
「わ~っ!可愛い!癒やされる~!!これ、好きにしてもらって良いですよ!」
「翠くん!?本当にゆるキャラには目がないでござるなっ!?」
イルカのオモチャを持って先輩の所へ。
「先ぱ~い!見て見て~!イルカさんですよ!うぇ~っとぉ……これどうなってるのかなぁ…あ、こうかな?」
イルカのお腹にあるネジをくるくる巻いて水に浮かべると…
「……泳いだ」
「泳いだっす」
「泳いだでござる」
「泳いだぞ!?」
「泳いだ~!」
何となく冷たい風が吹いたように思えたのでイルカのオモチャを回収しようとしたが…
「可愛いですね~。ぷかぷか…一緒に泳ぎましょう~!」
「奏汰先輩…!」
「いじわるしてすみません…大好きですよ~みはる~」
機嫌の直った先輩に皆がホッとした。
その後はびしょぬれになった先輩の体を拭いたりと大忙しだった