第18章 ガラクタドールガール 斎宮宗
「やめて下さいましっ!!」
そう言ってショルダーバッグを引っ張る手から逃れ、ショルダーバッグを腕に抱えこんだ。
「………伏見のくせに、何調子乗ってるんだよ」
どうやら、本気で怒らせてしまったらしい。どうしよう、本当にどうしよう。
「…何をしている?校門の前でギャーギャーやかましいのだよ。」
「嘘っ!Valkyrieの斎宮さん!?」
「そんなにやかましくされるとこの学院の上品さが損なわれるのだよ。即刻立ち去りたまえ。」
彼女達は斎宮さんに従って、さっさと立ち去っていった。
私はショルダーバッグを抱えこんだまま、ヘナヘナとへたり込んでしまった。
「…………全く、何だあいつらは?」
「…転校する前の、クラスメイトなのです。どうやらあの人達のイライラさせる波長と私がピッタリ合ってしまったようで………。お見苦しい所を見せて、申し訳ありませんでした。」
半分腰を抜かしていたが、何とか立ち上がって深々と頭を下げた。
「……………馬鹿か、君は。」
斎宮さんは私に頭を上げるように促した。
「助けてごめんはないだろう。ありがとうぐらい言いたまえよ。」
「…………ありがとう、こざいます。」
しどろもどろだがちゃんと言えた。斎宮さんは、眉間にしわを寄せた。
「全く…。君は……全部1人でため込むくせがあるようだね。」
「……?」
「まぁ、いつでも僕を呼びたまえ。一応、君は僕の好みの人形になってくれそうだしね。ねぇマドモワゼル?」
「うふふ、宗くんったら。」
謎なことを言い残して斎宮さんは去っていった。
私は、弓弦くんが来るまでそこで大人しく………あの子達が来るのではないかと怯えながら、待っていた。
「お待たせしました。」
「ゆ、弓弦くん…!」
弓弦くんの姿を見た瞬間、安心のあまり抱きついてしまった。
「あ~、良かったよ~!!」
「何かあったんですか?坊ちゃまは先に帰られたようなので、もう帰りましょう。」
「うんっ!」
弓弦くんとは双子で年齢は同じはずなのに、何だか私の方がとても幼く思える。
やはり、双子でもお兄ちゃんはお兄ちゃんなんだなぁ。