第18章 ガラクタドールガール 斎宮宗
「おはようございます、坊ちゃま」
「……………あんず?」
「弓弦くんは、今日日直みたいで早くに登校しました。」
「…………僕今、着がえてるんだけど」
「……それが、何か?」
坊ちゃまがワナワナと震えだし、最終的には出て行けと言われてしまった。
「申し訳ございません。何か無礼をしてしまったようで…」
「分からないなら良いよ…。ま、弓弦がいない朝は頼んだよ、あんず。」
「はい!」
頼られて嬉しいのは使用人特有だろう。坊ちゃまとは学年が違うので当然途中で別れた。
「あんず」
教室に入るやいなや委員長の氷鷹くんに声をかけられた。
「担任から言われたのだが、明日までに何かしら部活に入れとのことだ。これが入部届だから、好きな部活を選んで記入してくれ。」
「……明日まででございますか?」
「すまない、急で。最悪名前を置くだけでもいいから………困ったら俺に言ってくれ。」
…………部活か。本気でどうしよう。
「それならば歓迎しよう。」
斎宮さんに思い切って相談するとわりと簡単に承諾された。
他にも部員はいるらしいのだが、校内アルバイトや委員会で忙しいらしい。
「ありがとうございます。本当にもうどうしようかと。」
「明日までとはね。まぁ君の担任はそういう奴さ。」
部長が書くところを埋めてもらい、これを先生に出せば入部成立。
「ところで、手芸は得意かね?」
「使用人の訓練で一通りは学びました。ぬいぐるみくらいなら作れますよ。」
なら作ってみろ、ということでまずはデザインを考えることにした。
「………っ何だその絵は」
「えっ………ウサギでございますが…」
「僕にはこの世のものとは思えない怪物に見えるよ…」
………そんなに下手だろうか。確かに、お嬢様に頼まれてクマを描いたときにお泣きになられたっけ。
…………おかしいなぁ、完璧なウサギなのに。