第3章 深海奏汰
「あの…大丈夫ですか?」
「…すまないみはる………!思いの外、難しいな……!」
私もかなりのドジッ子でよく大惨事をおこすけど皆は真面目にやって大惨事をおこしていた。
ボールから材料をこぼし、分量を間違え、包丁が使えず、ようやくできたケーキを焦がした。
「大丈夫です~。初めは失敗しちゃうから…これから頑張りましょう?まだ時間ありますからね!」
「みはる殿……!」
「そうっすね!諦めず頑張るっすよ!」
皆の驚くべき根気と集中力で2回目で成功した。すこしいびつだが美味しそうだ。
「できましたね~!トッピングはどうしますか?」
「えーっと…やっぱお魚っすね!」
「あぁ!海の生き物だな!」
満場一致で海の生き物に決まったが材料が足りない。今日はここまでにしてプロデュースをすることになった。
「あれ?みはるちゃ~ん!」
「羽風先輩、どうしたんですか?」
「いやいや、食堂のカフェメニューを食べにきたら今日はもう店終いしてたから落ち込んでたんだけどみはるちゃんに会えたからすっごい嬉しいよ!」
相変わらずのテンションで羽風先輩は歩み寄ってきた。他の流星隊の人達は視界に入っていないようだ。
「う~、これからプロデュースなのでまた今度遊んでくださいね~?それより、部活は行かないんですか?」
「今日は部活ないよ?奏汰くんが、皆いない~って悲しそうに噴水で水浴びしてたよ?」
「何!?それは本当かっ!?」
千秋先輩は脇目もふらず噴水へと走り出した。私も走り出したが……こけた。
「う………!」
「みはるさん大丈夫ですか?」
「平気、こけなれてるから…」
私は擦り剥いた膝の痛みをこらえ、再び走り出した。