第17章 君と私の関係やいかに 影片みか
「……ということなの。本当のところ、どうなのかしら?」
悩んだ鳴上は、あんず……ではなく青葉に問い詰めていた。
図書室に足を運んだ鳴上は、本の貸し出しをしていた青葉を引っ張り、人気のない本棚の陰へと連れ込んだ。
最初はあんずに聞こうとしたが、影片をフったばかりの彼女にそれは酷だと思ったからだ。
もし2人がそういう関係なら、青葉に尋ねても同じ答えが返ってくるはず。遅かれ早かれ、あんずにも問いつめて………真相を見抜いて、あのクラスメイトを慰めてやりたい。
「え?あんずちゃんは後輩ってだけで………僕は全然。」
「……本当?」
「本当ですよ?」
嘘をついているようには見えない。
………ならば、どうしてあんずは影片を?
付き合ってる人がいるわけではないのなら、単にタイプではなかったとかそういうことだろうか。
「………どうしてかしら、あんずちゃん。私、お似合いだと思ったのに。」
「でも、あんずちゃんは気になるとは言ってましたよ。」
ニコニコと穏やかに青葉が発した言葉は、鳴上にとって衝撃的であった。
「…………なおさら分からないわ。それならどうして…?」
「女の子って難しいんですから。あんずちゃんもなんかモヤモヤしてたみたいで…。よく僕に相談してくれるんですよ。」
女の子は難しい?
それは、鳴上自身よく分かっていると自負しているもの。
しかし、この場合は本当にわからない。
………やはり、本物の女の子はどこか違う。
「これはあんずちゃん本人に聞くしかなさそうねぇ……。」
「えー?でも、君が聞かなくても気にしてる本人が聞いた方が良いんじゃないですか?」
「………それはそうだけど…。」
その本人が傷心中なのだ。ほら聞いてこい、なんて言えない。
「……恋って難しいのね。」
「女の子と一緒ですね!」
あまり状況を理解していない青葉と、真面目に友の恋について悩む鳴上………。
2人の会話を、こっそり聞いてしまっているものが1人いることを………
この2人は永久に知ることがないのだけれども。