第16章 騎士たるもの 月永レオ
次の日の朝、私は準備のために早めにスタジオに着いた、のだが…………
「うん………うん、わかってる……つもり。」
ドア越しに手鞠野さんの声が聞こえた。
誰かと話しているようだが………電話かな?
「…………はぁ、誰が好きで夢ノ咲に…。お前がどうしてもって言うからやってんだからな!うちの一年坊主面倒見とけよ。」
…………何だか話が変だ。私は悪いと思いつつ、立ち聞きをすることにした。
「………うん…。まぁ学校の代表者としては頑張るけどさ。…………乗り気じゃないや。…………は?何でそんなに嫌か?…………忘れたのかよ、お前
………俺らの先輩は夢ノ咲に潰されたんだぞ。」
まさかの話の内容に、衝撃を受けた。まだ話は続いているようだし、これ以上は……。
「あーんずっ!!!」
「………レオ!」
静かに、と言おうとしたが遅かった。レオの声が聞こえたのか、手鞠野さんは電話を切ったようだった。
「うっちゅーーーーーーーっ!!!!おぉ、コマ!先に来てたのか!」
何も知らないレオは、意気揚々とドアを開けた
「………コマ?あぁ、小町のコマね。」
丁度電話を切ったところらしい。スマホをポケットにねじ込んでいた。
「…2人は今?」
「俺はな!あんずはドアの前に立ってた!!!」
あぁもう、何で言っちゃうの…。
「わ、私が一番のりだと思ったから…。鍵が開いてないと思って、探してたの!やっと見付かったんだから、ほら!!」
ポケットからマスターキーを出して見せてみた。
苦しい言い訳だが、2人とも納得してくれたらしい。
「おはようございます。おや、3人ともお早いですね。」
「おぉ、スオ~!俺とあんずは今来たぞ!」
「おや?では手鞠野さんは……」
ナイス質問、と心の中で司くんをたたえた。しかし、手鞠野さんは表示一つ変えずに
「秘密の練習だよ」
と答えた。