第15章 夢見がち 鬼龍紅郎
「ククク、美味しそうなご飯じゃの~?」
「え、ご飯!?」
「………朔間、寝ぼけてんのか?」
いつもより低い声にビックリする。やばい。紅郎先輩本気で怒ってる。
いったい、零先輩はどうしたのだ。
「吾輩、吸血鬼じゃから~。カプッとかじってゴクッと飲めば満足なんじゃよ?頼むから食事の邪魔をしないでおくれ。」
「ええぇ、嫌ですよやめてください!!!!」
バタバタともがくも後ろから抱きしめられてるため逃げられない。
良いんですか零先輩。紅郎先輩がキレてしまいますよ!?
「ほれほれ…」
「な、何するんですか!!やめてくださいっ!!」
制服のリボンをペイッと投げ捨てられシャツの第1ボタンと第2ボタンがはずされた。
「何って……きっちり制服着られたら血が吸えないじゃろう?」
「…朔間、嬢ちゃんから離れろ」
「ん~?吾輩、耳が遠くての?」
朔間先輩は聞こえないふりをしてシャツを右肩にグッと寄せた。すると鎖骨らへんまで見えるようになった。
「チッ」
舌打ちをした紅郎先輩が一歩近付く。
すると
「痛いッ!!!」
零先輩が私の耳を思いっきり噛んできた。
その声に、紅郎先輩が動きを止めた。
「鬼龍くん、近付いてきたらあんずの嬢ちゃんにおいたをするぞい。血を吸ったらすぐ解放するからの。大人しくそこにおれ。」
「…………!」
紅郎先輩はグッと何かを堪えるように………静止した。
「ほぅれ、嬢ちゃんも覚悟を決めるんじゃ。」
「いやです、痛いのはいやですっ!!!!紅郎先輩っ!!!」
私が名前を呼ぶか呼ばないかの時に、先輩は動いていた。零先輩に上段の蹴りを入れようとしていたが、サッと零先輩がよけた。
「おやおや、暴力はいかんのう。」
「……さっさと嬢ちゃんを離せ。」
「嬢ちゃん?誰かのぅ?吾輩、わからんわ。」
いよいよ堪忍袋の緒が切れたようだ。紅郎先輩は近くにあったイスを蹴っ飛ばした。