第15章 夢見がち 鬼龍紅郎
「なるほど……。やっぱり、名前で呼んで欲しかったりするんすか!?」
「………そうだねぇ。ていうか、今日どうしたの?」
「あ、いや……今流星隊の1年で話し合ってて…乙女心ってやつを分かりたくて……ファンサービスの勉強中なんすよ」
どこか照れたようにはにかむ鉄虎くん。可愛くて思わず頭を撫でてしまった。
「な、何すかっ…!?これが乙女心っすか!?」
乙女心というよりかは母性本能であるが、可愛いので黙っておく。
その日はパンケーキを食べたらそのまま帰った。
「んでな、ここはこうして…」
昨日言ってたところを教えてもらうこととなり、放課後の教室にお邪魔。今日は部活がないらしい。
鍵を閉める日直は紅郎先輩だし、先輩のクラスの担任は私の担任みたいにルーズや人らしく鍵を返すのが遅れたって構わないらしい。
「んー、難し…………ぃたっ!」
「おい、大丈夫か?」
針が刺さったらしい。血の玉が指にぷっくりと出来ていた。
ハンカチでふこうとブレザーのポケットに手を入れた。案の定ちゃんと入っていた。
しかし、私がハンカチを取り出すより紅郎先輩の方が早かった。
私の手をグッと引き寄せて血が出た指をパクッと口に入れられた。
「~っ!?!?あ、あの、紅郎……、先、輩……!」
先輩は何か?と言いたげな顔だ。いやいやちょっと待て。待て。
ペロッと口の中で1回指が舐められたと同時に、外に出された。
「どうした、赤くなって。恥じるこたぁねぇよ。俺もよく自分の手刺してたからな。」
「……………つかぬ事を聞きますが、こういうこと誰にでもやってるんですか?」
「あ?普通だろ。俺も刺して血が出たらこうするしな。嬢ちゃんはご丁寧に水道まで洗いに行きそうだけどな。」
……鉄虎くんより紅郎先輩の方が乙女心を理解していないんじゃないか。まぁ別に嫌ではない、が……。
このドキドキに気づいて欲しいというのも乙女心だろうなぁ。