第14章 オオカミ彼氏 大神晃牙
「あの…」
「ん?」
気まずい沈黙がしばしあったので、沈黙を破ろうと太陽さんの学校はどんな学校なんですか、とか話しかけようとしたとき。
バッと誰かが割って入ってきた。
「うおっ、猛犬くん」
「がるるる!テメーまた何かしてやがったな!?」
「あはは、ほんと頼れるパートナーだねぇ赤ずきんちゃん?」
彼はそれだけ言って、バイバイと去って行った。太陽さんの背中は、少し寂しげで___。
「あの、また遊びに来てくださいねー!」
そう叫ぶと、彼は振り向きもしないで軽く右手を挙げてグーサインをした。
……………去り際めっちゃかっこいいんですけど
「あ!?な、何だ?おい、アイツ何なんだ?」
「あー、えーっと……」
一から全部説明したら、晃牙くんは納得した様子。
「そーゆーことかよ。」
「?」
「たまにいるんだよなぁ、夢ノ咲恨んでる奴。お前マジで大丈夫なのか?」
「え、どこも何ともないよ。」
「じゃあ何でそんな顔してんだよ」
晃牙くんがそう言うけど、自分がどんな顔をしているのかは分からなかった。
ただ、夢ノ咲学院が恨まれる、ということが少し引っかかるだけ。
自分のことではないけど………ちょっと、複雑
「……テメーは気にしなくて良いんだよ。学院の奴らが好き勝手やったってだけなんだからな!」
「…………うん」
歯切れの悪い返事しか出来なかった。
「っあのなぁ!!!お前がそんな顔してたら俺様はどんな顔したらいーんだよっ!!いつもみてーに笑ってろ!………確か、こんな感じか?」
そう言うと晃牙くんはほっぺをつまんでググッと無理やり口角を上げてきた。
「プッ!なっさけねー顔!!写メって待ち受けにしてやろーか」
「や、やめてくらはい…!!!」
晃牙くんは悪い悪い、と意地悪に笑ってからパッと手を離した。
「さっさと着がえて帰ろーぜ。送ってやるよ、感謝しろ!!」
「うん!」
私は大股で先に行く晃牙くんを小走りで追いかけた。