第14章 オオカミ彼氏 大神晃牙
「ね、君はこの学院で何を見たの?それをどう思った?」
「………」
「もしかしたら、俺らのとこにも君が必要かも知らないしね。この機会に引っこ抜けたらって思ったんだけどねぇ……。
俺に可愛いって言われて落ちなかった女の子いないのになー…。おっかしーなー…。」
「自意識過剰、あんぽんたん」
「バーカバーカ」
「外野黙ってろ!!!」
チョコチョコ高校生らしいところが垣間見えるが、それ以外はとても恐い。いよいよ声が出なくなってきた。
「……まぁ、今日君の様子をね…あ、ストーカーって訳じゃないよ?見せてもらってね、俺らの学校来てもらえなさそーって思ったの。
でも一つ君の弱点見つけちゃってねぇ?わかる?んー?」
これまでにないくらいの満面の笑み。逃げたくても逃げられない。手の力が強くなっていく。
…………痛い。それさえ、声にならない。
「今日見た猛犬くん。大神晃牙くん……でいいのかな?俺こう見えても生徒会長なの。だからね、アイツくらいなら簡単にうちの学校に呼べるよ?君は立場が特別だから…無理やりには出来ないんだよねぇ。君の同意がなくっちゃ。
彼が一緒にいたら、心強いでしょ?」
正直、話が良く分からなかった。キョトンとしていると乗り気じゃなさそうな人が…
「大神晃牙を無理やりうちの学校に転校させるから、お前も来い……ってこと?」
「そうそう!!」
「………性格悪」
ボソッとその人は呟いた。太陽さんは私にどうか、と聞いてきた。
声が出ない。しばらく黙っていると太陽さんが無理やりグッと引っ張ってどこかに連れて行こうとする。
「沈黙は肯定、って受け取るタイプなの。悪いけどちょっと拉致させてもらうよ!うん、って言うまで帰さないから。」
嘘、と慌てて他の二人を見たら盛大なため息をついていた。
「あのねぇ太陽」
「拉致ってやばくね?」
「えー?大丈夫大丈夫、何とかなるって!!!夢ノ咲ってDDDのときにもなんかこういうのあってんでしょ?」
二人の静止を振り切って太陽さんはズンズン進んでいく。
あぁ、本当にもう駄目だ。と私は最悪の展開に直面したことを実感した