第14章 オオカミ彼氏 大神晃牙
ライブは大盛り上がりの大成功。凛月くんと零先輩が背中合わせに歌って踊って………本当に楽しかった。
物販やら何やらでてんやわんやだったが、ライブは全部見ることができた。
しかしライブが終わるやいなや片付けに追われた。今はお客さんが帰ったのを確認し、客席の整理中である。
皆仮装してたし、飾りやら何やらがポロポロ落ちている。
にしても、今日は色々あったなぁ。零先輩が血を吸ってこようとしたり、犬がたくさんいたり……。
それに、あの人達。
羽風先輩は姉妹校だって言っていた。あの人達はきっちり学ランを着ていて…仮装はしていなかった。仮装しないと今日はこの学院に入ることさえできなかったはず。なのに………
「trick or treat … ☆」
静かなライブ会場に、あの声が響いた。驚きが隠せず拾っていた飾り達が落ちてしまった。
「やぁ、雑用お疲れちゃん?」
「…………った、ここ狭い」
「ここまでする必要あるの?」
どうやら客席の下に隠れていたらしい。私しかいないと分かって、出てきたようだ。今度は三人そろっている。相変わらず、先ほど途中で抜けた人は乗り気じゃないらしい。
「お菓子持ってる?」
「………」
沈黙を肯定と受け取ったらしい。再びガシッと両手を掴まれた。
「ね、聞きたいことがたくさんあるんだけど。さっきも言ったとおり、俺らさぐりに来てるんだよねぇ。」
「……さぐり…?」
「うん、そう。一年前……君は知らないのかな。この夢ノ咲の生徒会長さんと五奇人が色々やっててさ。そのとばっちりが俺ら姉妹校にも来てたわけ。
んで、最近は落ち着いてきてるから何かあったんだろうなーって思ってるのね。俺らは、噂の転校生ちゃんに何かあるんじゃないかなーって思ってるの。」
太陽さんはニコニコ笑ってはいるが、手の力がどんどん強くなっているし、正直とても恐い。