第14章 オオカミ彼氏 大神晃牙
「太陽がわめいてるから何事かと思ったけどナンパ-?」
「そうそう!この子プロデュース科の転校生ちゃんなんだよ!!」
「へぇ………」
太陽(?)と言う名前なのか最初に声をかけてきた人が私の両手を掴んだまま私の後ろにいる人と話している。
プロデュース科、と聞いた瞬間後ろにいる人の目が一瞬だけ鋭くなった。
「んで、さっきtrick or treatって言ったらお菓子くれなかったんだ!!」
「trick or treat…………お菓子くれなきゃ、イタズラするぞ…………だよね。」
「………俺、先行ってるね。」
唯一ナンパに乗り気じゃなかったっぽい人が去ってしまった。
ていうかこれ、ナンパなんだろうか。去ってしまったあの人含め三人とも私を品定めするような目で見てくるのだが……。
「お菓子、本当に持ってないんだよね?」
「…………さっき、全部あげてしまって…」
「____じゃ、何されても文句ないよね。」
「そーゆーことだなっ!!さぐりのつもりで来てみたけど、案外良い情報がゲットできそうだ!」
太陽って人がケロッととんでもないことを言った。よく分からないけど、ここで捕まったら(もう捕まっている)大変なんじゃないか。
声が出ない。しょうがないし、掴まれた両手を動かそうとするけどビクともしない。
「おい」
太陽さんの声が低くなって、ビックリして体が硬直した。
ググッと私の両手を掴んでいる手に力が込められた。
「早くしろ、何か腹立ってきた。」
「……わかった。」
後ろの人が私に手を伸ばしてくる。どうしよう、どうしようと思っていたとき………
ガッと首根っこを掴まれて右に引っ張られた。太陽さんはビックリして私の両手から手を離した
「テメェら………コイツに何してんだ…!」
「生徒に手を出すのはやめていただきたいね~?ま、俺が言えたことじゃないかもだけど?」
晃牙くんが私をかばうように前に立っていた。その更に前には二人に喧嘩を挑むように羽風先輩が立っていた。