第14章 オオカミ彼氏 大神晃牙
ハロウィンパーティーには、たくさんのお客さんが来てくれている。
これならライブも盛り上がるなぁ、と考えるだけでにやついてしまう。
どこに行くわけでもなく、ただブラブラしているとお決まりの文句が聞こえてきた。
「trick or treat」
聞いたことのない声に、見たことない顔。きっとお客さんだろう。
学ランを着ているし…他校の人かな?
「えぇと、すみません。もうお菓子なくて…」
「…あれ?女装かと思ったらモノホンのJK!?なに、夢ノ咲の普通科も参加してんの?なーんだ、からかってやろうと思ったのに。」
どうやら、私を女装した人だと勘違いしたらしい。私は見知らぬ人との会話に緊張しながらも、訂正した。
「違うんです、私プロデュース科でして…」
「あぁ!!噂の転校生ちゃん!?噂の通りめちゃ可愛い!!!な!そう思わね!?」
クルッと振り向いて誰かに同意を求めているが誰もいないように思う。しかし、ヌッと音もなく現れる人影が一つ。
「………知らないよ。恥ずかしいからやめなよ…」
「あ、コイツのことは気にしないで!!影薄いだけだから!!!」
と無理からに肩をくみに行ったがめちゃくちゃ拒否されている。どうやら同じ学校の人達らしい。
「ね、転校生ちゃん!!ここで会ったの何かの運命だよね!?だよね!?そう思わね!?そう思おう!?」
「あ、ぁの………」
バッと両手を掴まれた。何かこのノリ、羽風先輩に似てるけど…あの人はここまで強引ではない。
「あー!俺も夢ノ咲来たら良かった!!」
「転校してくれる?その方が嬉しいから」
「安定の絶対零度!?」
何だか独特な二人だなぁ、とか他人事のように思ってると後ろに気配を感じたと同時にパサッと赤いずきんが外された。
「あーほんとだ、かわいーねー。」
後ろからニュッと顔を覗き込んできた人はとても大きい人だった。同じ学ランを着ているし、この二人と同じ学校の生徒だろう…
というか、何だこの状況