第13章 あてんしょんぷりーず? ー葵ひなたー
「最近、アニキのことも俺って呼んでますよ。」
「……」
どうでも良いが、この体制は何とかならないのだろうか。
「…こっちが俺ですからね。」
「……えーっと」
グッと近づいてくるゆうたくん。覚えろよ、覚えろよ!?的な圧力がある。
これは正直に言った方がいいのだろうか。
「………近いです」
「………………………ぁ」
カァーーーッと真っ赤になっていくゆうたくん。今更気づいたらしい。
「俺、おおおお俺俺俺」
「…落ち着いてください。」
ひなたくんはバッと体を離し即座にベッドからおりた。そして地獄の底からわき出たような長ーいため息をつき、ヘナヘナと床にへたり込んだ。
「…大丈夫ですか?」
「何であんずさん平気そうな顔してるんですかっ!?俺すっごい恥ずかしいのにっ!!!!!」
「え、すごく…………動揺してますが。」
どうやら上手く伝わっていないらしい。
ゆうたくんが顔を真っ赤にしたまま保健室を出て行こうとする。が、その直前に
「アニキには内緒でお願いしますっ!ていうか、アニキ以外にも!墓まで持って行ってくださいね、このこと!」
とお願いされた。
「……………わかりました。」
と私が言い終える前にさっさとどこかへ行ってしまった。
もう一眠りしようと寝転んだとき、携帯がなった。
「…?」
通知をOffにするのを忘れていたらしい。メールが一通入っていた。それはひなたくんからで、
『授業抜けられそう?屋上に来て!待ってるからね~!!』
と書いてあった。
あのゆうたくんの様子を見れば何の用かはすぐに分かる。
生徒会長さんの言うことなんて聞くんじゃなかったと思っても、もう遅いのである。