第13章 あてんしょんぷりーず? ー葵ひなたー
「うーっす…サボりか?いや、お前がサボりなわけないな。よーし適当に寝とけ寝とけ。俺はそろそろ仕事しなきゃだから職員室行ってるぜ。」
保健室の扉を開ければ何も言ってないのに勝手に先生が全部話してしまった。
サッと出て行く先生。仕事って、本当だろうか。
まぁ良い。寝とけ、と言ってたし寝かしてもらう。最近どうも調子が悪い。
カーテンを閉めてベッドに横になって……10分くらいか。ウトウトしていたら誰かが入ってきた。
先生を探しているのだろうか?ならば職員室ですよ、と伝えた方がいいだろう。
気だるいのを我慢して、のそりと起き上がる。その時シャッとカーテンが開いた。
丁度良い、向こうから来てくれた。
「あの」
声をかけようとしたら即座に目を布かなんかで塞がれた。多分、タオル。
え、何?とか思ってる間に足音がパタパタ、と聞こえた。その次はガチャって音。扉の鍵でも閉めたのかな。それじゃあ、気分悪い人が入って来れないじゃん!?
まさか不審者!?とりあえず、目を塞いでいるこのタオルをとろう、と両手を挙げる。
しかし、その両手はガシッと誰かに掴まれた。
ダン!とそのまま強い力で押されてベッドに抑えられた。
「…………ッ!!!」
いくらベッドでも痛い。いったい何なのだ。声を出そうとしたら……
「すみません、悪いことはしないんで大人しくしてください。」
聞き慣れた声がした。
葵兄弟のどちらかの声だ。2人でこんなことしてるのだろうか。
「あんずさん以外に俺一人だから、心配しなくて良いですよ。」
ゆうたくん、かな。
「…………あの」
「俺が葵兄弟のどっちかわかりますか?」
「…ゆう、た…くん」
そう言うとパッとタオルをとられた。目の前には満面の笑みのゆうたくんが。
「正解です」
「……あの?」
「あぁ、すみません。最近俺らを見分けられてないみたいだから試させてもらっただけです!」
「し、心臓に悪いですっ!!」
「だって普通にやったって……」
そこまで言って黙ってしまった。きっと面白くないとか言いたかったんだろう。