第2章 夢の話し 遊木真
雲で太陽が隠れたのだろうか。逆光がなくなったため私は恐る恐る目を開けた。
眼鏡越しに目が合った。怒った顔をしていると思ったのに彼の顔はとても悲しそうだった。
私の口を押さえ込んでいた手をはなし、こう言った
「他に、何されたの…?」
真くんは更にケーキを私の口に入れようとしていた。
私は怖くなって正直に白状した。
「……お皿運ぼうとしたら部室に入ってきて、後ろから抱きつかれて…………」
洗いざらい全部話した。でも真くんの表情は変わらない。
「…好海ちゃん、知ってるよね?」
「え…?んぐっ!!」
再びケーキを口に入れられた。
「僕がそういうことあんまり良く思ってないこととか!朔間くんがまだ好海ちゃんのことを好きとか!全部知ってるよねっ!?」
「んっぐ……!んんっ………!!!」
「知ってるなら!何で!?何で朔間くんのされるがままなんだよっ!?それを!僕が大したことじゃないとか!そんな風に思ってるわけないでしょっ!?」
真くんの顔が見えるからより怖い。真くん、本気で怒ってる…
「どうして好海ちゃんは大したことじゃないって言えるのっ!?好海ちゃんは…朔間くんにそんなことされて嫌じゃないのっ!?」
真くんの怒声に私はこらえきれずに泣いてしまった。ここで泣くのはずるいかもしれないけど、我慢できなかった
真くんは驚いて、私の口を抑えていた手をはなした。
「………朔間くんに好きって言われて……私は…どうしていいかわかんなくてっ…朔間くんを拒んだら……すごく悪い気がして……でもそれ以上に真くんに悪いって気がして…
…でも朔間くんにとってもそれはすごい残酷なことで……私は………何も出来なくてされるがままっ……嫌じゃないわけないよっ………」
ポロポロ流れる涙を真くんは何度も謝りながらぬぐってくれた。
何度も何度もごめんと言いながら止まらない涙をぬぐってくれた