第2章 夢の話し 遊木真
「ま、真くん…?」
窓から入ってくる逆光で目が開けられない。私はギュッと目をつぶった。
話し掛けようと口を開ければ真くんがケーキをほんの少し口に入れてきた。
「美味しい?朔間くんが作ったんだって」
抹茶の味が口に広がる。
「…神崎くんの手を握ってたときは何事かと思ったけど……」
再び口の中に何かが入ってくる。生クリームの甘ったるい味がした
「その少し後にまさか朔間くんに抱きしめられて寝てるとは思わなかったよ」
私は更に目をつぶった。どことなく…真くんが怖かった。
「今日は何されたの?」
大きな塊のケーキを口に入れられた。
「んん……っ!!」
「駄目だよ。ちゃんと食べなきゃ。朔間くんが作ったんだからさ。」
「んー……っ!んんっ!」
真くんは私の口を押さえた。ヤダヤダと首を振るが聞き入れてもらえない。こんないっぺんにケーキを食べたらどんなにおいしくても吐き気がする。
「昨日みたいに抱きしめられた?」
「ん…!」
私は素直にコクコクと頷いた。
私をつかむ腕に力が入った。
「ふーん……で、嬉しかったんでしょ?良かったね、好海ちゃん。」
「んんっ!んんーーっ…!」
違うと首を振るが真くんは聞いていない。
嫌だ…真くんが、本当に怖い。
ようやく口を抑えていた手がはなれた。
「やめてよ…真くんやめてっ!」
しかし彼は先程より多くケーキを口に入れて再び口を押さえ込んできた。
「んっ…!」
膝枕されて…寝転んだ状態で食べさせられているのですごく飲み込みづらい。
「どうして…!」
しばらくして切羽詰まった真くんの声が聞こえてきた。
「どうしてどうして!好海ちゃんは……っ!どうして!」
「ん………!んーーーーーーーっ!!」
彼は私の腕を掴みギュッと力を入れてきた。
「んん!んーっ!」
痛かったし怖かった。私は口を押さえられているためケーキを飲み込んでも話すことが出来なかった。