第11章 今日こそは私とデートしてください ー羽風薫ー
「あら~、それでそんなに落ち込んでるのね…」
「ううぅ…レオのバカ。私は薫さんと偶然がしたいだけだったのに、結局居残っちゃってるし、もう最悪」
近くを通って助けてくれた嵐に全てを愚痴った。嵐はあら、と言って人差し指を立てた。
「偶然がしたいのね。それなら良い方法があるわ。」
「え!?何々?」
嵐は可愛く、ウインクをした。
「嫉妬作戦よ!」
これから、なるべく王様と行動するのよ~とかなんとか言われたけど、これで大丈夫なのだろうか。薫さんが嫉妬するとは思えないけど。
だって、私がしないもん。
「あんず!!」
「あー、はい紙」
「あんず!!」
「ペンのインクがきれたの。買ってくるね」
「あんず!!」
「あー、ご飯ね。作ってきたよ。はい。」
「あんず……」
「ルカからもらった誕生日プレゼントなくしたの?ダメじゃん…」
「あんずー」
「見つけたんだ、良かったね。」
……………何で『あんず』だけで会話が成立してるの…
ユニット練習中の二人を見て、嵐…だけでなく、Knightsの全員がそう思った。
「幼なじみ舐めてたわ…」
「いや、どー見たって異常でしょ~?」
「俺とまーくんもあそこまでじゃないかも…」
「あぁ、leaderが作曲に専念し始めて何一つ喋らなくなってもお姉さまにはleaderが伝えたいことがわかるのですね…」
皆が遠い目をして見守っていることに、私達は気づかずいつも通りに過ごしていた。
でも、薫さんは何も言ってこない。レオのスキンシップは激しめで抱きついたりとか色々するのに。
やっぱダメかぁ、と私は机に突っ伏した。側にいるレオは私なんか無視して作曲に没頭している。
「あんず、あのさ!」
「んー?」
「何で最近俺といんの?」
ば………
ばれてたわー…………
え、不自然すぎたかな何でかな…
「あんずは俺といたいわけじゃないんだろ-?早く行きたいところに行けよ」
「……レオ、あんたどこまで知ってんの?」
「分かるよ!お前のことならわかる!!お前が元気なかったら俺も元気でないしな。インスピレーションが出てこない。だから元気になれ!」
レオはにっこり笑ってそう言ってくれた。私は半泣きになりながらガタッと立ち上がった。
「レオ~!!」