第9章 タバコ
「じゃーねまつふぃーぬちゃん!」
「またね!」
家の前で六つ子達と別れる。
玄関のドアを開けようとした時、ケータイが鳴った。
「まつふぃーぬ、話がある。下まで降りてきてくれ。」
カラ松さんだ。なんだろうと思いながらも、アパートの階段を降りる。
「悪いな、手間をかけさせて。」
「いいっスよ。どしたんスか?」
「まつふぃーぬ、タバコ吸ったろ。」
思わず制服の匂いを嗅ぐ。
微かにタバコの香りがする。
「あー・・・カラ松さん鼻いいんスね。」
カラ松さんはサングラスを外し、真剣な目で私を見つめる。
「まつふぃーぬは未成年だな。」
「はい。」
「今から吸い続けてヘビースモーカーになったら、赤ちゃんを産みたい時にタバコを止められないぞ。」
カラ松さんは一度、息を吸い込む。
「それにな、未成年から吸っちゃいけないのは、体に毒だからだ。タバコが吸いたいなら、ちゃんと大人になってから、適度な分だけ吸え。」
カラ松さんは静かに、ゆっくりと話した。
「まつふぃーぬのことが大事だから言うんだ。よく考えてくれ。呼び出して悪かったな。」
「・・・あざっス・・・」
なんか、言葉がうまく出て来ない。
カラ松さんは急にニコッと笑顔を作り、
「じゃあな、麗しのまつふぃーぬ!今宵もお前の夢がスウィートドリームであることを願ってるぜ!」
そう言って、手を大きく振ると駆けて行った。