第4章 クリスマスor正月【岳人/長太郎/跡部】
【テニスの王子様/向日岳人編】
一月一日。
大晦日の紅白歌合戦を見て夜更かしをした岳人は、日付が変わっても昼間までぐっすり眠っていた。
(そう言えば、悠鬼が初詣行こうって……言ってたなぁ……)
カーテンの隙間から入る陽の光りを感じ、岳人は瞼をうっすら開きながら茫然と思い出していた。
すると布団のもふもふした暖かさとは違い、隣に人の温もりを感じる。
まだ覚めきっていない目を隣に向けると、普段とても見慣れた顔が視界に入る。
「!?」
隣の家に住む幼馴染であり岳人の彼女である悠鬼が、隣で気持ち良さそうに寝ていたのだ。
重たい瞼が一気に上がり、一瞬にして意識が覚醒してしまった。
確かに昨日も一緒にいてデートをしたが、夜はお互い自分の家の寝室で寝た筈。
岳人が昨日の事を思い出そうと起きたばかりの頭を働かせていると、彼女の細い腕が背中に周りクイっと引き寄せられる。
岳人の胸に顔を埋めて、ぎゅっと抱き締める。
(なっ!?……こ、これはちょっとッ……)
悠鬼に抱き締められた瞬間ドクンと胸の奥が高鳴り、顔が熱くなるのが解った岳人は離したい気持ちが強いが、離すのも正直言って勿体無い。
頭の中でモンモンと欲望と格闘していた岳人だが、徐々に下半身が熱を持ち初めているのを自覚する。
そっと離れようと試みるが隙間が出来ると、悠鬼はその隙間を埋めようと更に密着して来る。
『……んっ……岳ちゃん……』
「……あ、えっと……」
『……おはよう』
「お、おはようっ……って何で俺の布団の中に居るんだよ?」
『岳ちゃんが恋しかったんだもん……近くて便利ねぇ~』
「と、兎に角……少し離れろよっ」
『何で?……もう少しこのままが良いのに……』
「起ったから」等と言える筈もなく、岳人は言いにくそうに視線を逸らしてどうしようかと戸惑っている。
今は冬休みで学校もないので岳人自身、彼女との時間を目一杯堪能したいしイチャイチャもしたい。
このまま躰を重ねたいが年末年始なので、どちらの家にも家族が全員揃っている。
『イヤなの?……私といるの……』
「ち、違うって!……あんま煽ってると襲うぞっ!」
『襲って?』
「……っ……お前なぁ」
『岳ちゃんなら良いもん……抱いて愛して?』
「バカッ……」