第3章 バレンタインデー【一角/狛村】
【BLEACH/斑目一角編】
『ば、ばれ?』
「バレンタインデーよ!……女が好きな男に気持ちを伝える為にチョコを渡すのよ」
『乱ちゃん、好きな人居るの?』
「あたしに見合う男なんてそうそう居ないわよ!……でも悠鬼はこういうの好きでしょ?」
『う~ん、あげたいけど……一角は甘いのあまり好きじゃないし……』
「あのハゲにはこういうのが良いんじゃない?」
『あら、これなら食べられるかしら?』
先日、親友の乱菊から現世の雑誌を見せられながら聞かされたのが、バレンタインデーの話。
一角とは一緒に住んでいるので悠鬼は彼の居ない時を見計らって、気付かれない様にこっそりチョコを作った。
現世のお菓子を作るのは初めてなので少し緊張するが、一角に自分の気持ちを伝えるのはいつだって温かい気持ちになる。
そして現在、悠鬼は一角に膝枕をして、二人でのんびりした時間を過ごしている。
『一角、起きてる?』
「あっ……何だよ?」
『……お口開けて?』
一角は目を閉じたまま横を向いて居り、(何だ?)と思いながらも深く詮索せず、目を閉じたまま上を向いて悠鬼に言われた通り口を開ける。
すると口の中には初めて知る味と、酒の匂いが広がる。
一角は口をモグモグ動かしながら、目を開けて不思議そうに悠鬼の方を見る。
「何だ、これ」
『チョコの中にウイスキーって言う現世のお酒が入ってるの!……美味しい?』
「ん、悪くねぇ……もっと」
『ふふっ、良かったぁ!……お口に合って、初めて作ったから』
「珍しいな、悠鬼が現世の菓子作るなんて」
『今日は現世でバレンタインデーって言うんですって』
「ば、ばれ?……何だそりゃ」
『女性が好きな殿方に気持ちを伝える為に、チョコって言うお菓子を渡すんですって』
「そういうの好きだよなぁ、お前」
『あら、素敵じゃない?……好きな人に伝えられる日があるなんて』
「今更言わなくても分かってるっつーの」
乱菊の影響なのか、悠鬼は最近現世の文化にも興味を持ち始めている。
何かあるとそれは一角相手にされるので、今回見たいに彼はあまり乗り気ではない様子。