第2章 幽霊
カラ松は何度、マツフィーヌに逢いたいと思ったことか。
「なあ、幽霊っていると思うか?」
そう話しかけられた一松は「・・・いると思えばいるんじゃないの。」と、答えた。カラ松が相手と言えども、さすがに邪見にできなかった。
カラ松は納得したように「そうか、俺がいると思えばいるんだな。」と、呟いた。
だが、マツフィーヌの幽霊は出て来てくれない。
「お前がそんなんじゃ、マツフィーヌちゃんは幽霊にすらなれないんだよ!幽霊になって慰めようにも、今度お前はそればっかり求めるようになるだろ?今よりもっとダメになるだろ?マツフィーヌちゃんのためにも、もう少しシャキッとしろよ!」
おそ松に叱られたこともある。あの時、おそ松の声は半ば涙で震えていた。
おそ松に諭されて、カラ松は夢遊病者のような態度を改めた。
けれども、街中を歩く度にマツフィーヌを探す癖は治らない。
夜の闇にマツフィーヌが幽霊になって出てくれないかと、目を凝らす癖も治らない。
どこかにマツフィーヌはいないか、せめて、何かサインのようなものはないか。
カラ松は3年の間、ずっとそんな生活を送っている。