第6章 Stay Home(黄瀬涼太)
いつもと同じ一日が
明日もまた変わらず訪れるとは限らない。
今年、新型ウイルスの世界的な大流行により、日本全国で初の緊急事態宣言が発令され、国民には外出の自粛が要請された。
飲食店を始めとした各商業施設にも営業自粛要請が出され、その殆どがネオンを消すという、異例の事態。
それに加えて音楽やスポーツをはじめとするイベントも開催を制限されたため、涼太も現時点で今シーズンは全試合絶望的かもしれない、なんて言われている。
図らずも超長期休暇となってしまった彼は、午前中から自宅のトレーニングルームで身体を鍛え、午後の空き時間には在宅で出来るお仕事をしたり、身体を休めて家族でのんびりと過ごしている。
不謹慎なのは重々承知の上だけれども、少し安心しているのも正直なところで。
涼太がこんな状況の中いつも通りお仕事をするというのも不安だったし、全く休みのない彼に、心配が尽きなかったから。
私に出来る事は本当に少ないけれど、せめて今は最前線で闘う人々の邪魔にならないよう、最大限大人しくしていようと思う。
息子は普段留守がちなパパが家に居て、とっても嬉しそう。
涼太がどこに行くにもひょこひょことついていく姿が愛らしい。
突然、涼太と私のスマートフォンが同時に振動する。
荷物の配達完了連絡がアプリを通して送られて来たようだ。
「あ、なんか荷物が来たみたい」
「オレ取ってくるっスよ」
「ぱぱ! みて!」
「はいはい、どしたんスか」
息子は、上手に作れたブロックを涼太に見てもらおうと一所懸命だ。
表情から、動きから、嬉しそうなのが伝わって私まで幸せになる。
我が家の平和な昼下がり。
「大丈夫だよ、私行ってきちゃうね。ちょっと歩きたいし」
「んー、そうスか? 重いもんだったら言ってよ」
「うん!」