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【黒バス:R18】with gratitude

第2章 unconfident(氷室辰也)


女の子だもん。誰だって可愛くなりたい、よね?



「みわー、あれ取って!」

「はいはい……これ?」

「違うー、その隣!」

ここは、某激安の殿堂。
私が今手に取ったのは、棚の最上段にあるピンクの小花柄のシャンプーボトル。

雑誌によく載ってる、香水のブランドから出ている、ちょっとお高めの品だ。

「いやー、アンタいたら男要らないわ。便利すぎ」

「そりゃどーも」

身長が170センチもある私が常日頃から言われるのは、カッコいい、カッコいい、カッコいい。
たまに悪口でゴリラとか。
そして基本、こうやって脚立代わり。
私、人間ですからね!?

髪を伸ばそうが、スカートを履こうが、その印象は変わる事がない。

いや、いいのよ。
カッコいいって言われるのも、嫌いじゃない。

でも、本当は。

ちらり、隣の友人を見やる。
小柄で色白美人の彼女は、モテる。
いつも、気が付けば彼氏が変わってる。

……私も、可愛いって言われたい。
無理だって分かってるけど、小さくなって守りたいって思われたい。

ずっとそう思っていた私に、転機が訪れた。
まさかまさかの、彼氏が出来たのである。

言い訳をする訳じゃないけど、元々、モテない訳ではなかった。
でも、告白される事はあっても、『付き合う』というのがイマイチピンと来なくて……。

周りの子より遥かに遅れているという自覚がありながらも、その違和感を抱えたままお付き合いは出来なかった。

お陰で、大学生となった今でも、男性経験はナシ。

初恋人となってくれた183センチの彼は、私のことを可愛いと言う。

アメリカ帰りの彼は、挨拶するかの如く、愛を囁く。
それはもう、王子様の様に、顔をあわせるたびに。

そんなの、今まで経験したことがなかった。
『女の子扱い』されること。


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