第4章 Happy Happy yellow(黄瀬涼太)
「……大丈夫っスか?」
手加減をしたつもりだったけど、うつ伏せになったみわはぐったりとしている。
「だい、じょうぶ……」
いつもよりは、激しくしなかったと思う。
普段は控えめな彼女が一所懸命に腰を揺らして応えてくれたもんだから、ちょっとだけ調子に乗ったけど。ちょっとだけ。
「涼太……うまれてきてくれて、ありがとう」
ああ、今年もこのセリフだ。
同じ言葉の筈なのに、まるで今初めて聞いたかのようなこの気持ち。
年を重ねるごとに、感情っていうものは深く厚くなっていくものだって、彼女に教えて貰った。
じわりと目頭が熱くなる。
「ありがと……みわ。また来年も、お祝いしてくれるっスか?」
「うん、するよ……ずっと、するよ」
未来の約束を交わして、またゆるりと唇を合わせた。
明日、なんて誰にも約束出来ない。
いつ、何が起こるかなんてわからない。
だからこそ、揺るぎないこの気持ちだけは、ずっと大切にしていきたい。
大切なひとと、同じ気持ちでいること。
その尊さに、改めて感謝の気持ちを抱いた。
ずっと隣に居て、伝え続ける。
この五文字に、全てを込めて。
「ありがとう」
Happy Birthday,RYOTA♡