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【黒バス:R18】with gratitude

第1章 Happy……Birthday☆(黄瀬涼太)


「ん……」

呑気に嫁のお腹の中の息子と話していると、みわは軽く身じろぎ、ゆっくりと瞼を開けた。

「ごめん、起こしちゃったっスね」

「ううん……ごめんなさい、寝ちゃってた」

肘掛けに手をついて、ゆっくりと身体を起こす。
この体型での生活にもだいぶ慣れたようだ。

「寝てていいっスよ、ベッド行く?」

「大丈夫、ご飯あっためなおすね」

「十分あったかいって。頂くっスわ」

お腹が大きくなってきたせいで腰痛に悩まされているらしく、腰を少しさすってからみわは立ち上がった。
女性は、妊娠が分かったその瞬間から母親になるんだもんな。
分かってはいるけど、オレはまだピンと来ていなくて。

来年の今日は、3人で過ごすんだよな。
不思議な気持ちだ。

みわは、オレが知らなかった気持ちを全部くれるんだ。
出逢ってから、今日までずっと。

そんな彼女に、オレは何を返せるのかな。

「いただきます」

偶然にも重なったその声にすら、幸せを貰えて。
見た目も華やか、オレの好物ばかり並べられたテーブル。
栄養たっぷりの料理たちは、気持ちだけでなく疲れた身体も満たしてくれる。

「んー、やっぱりみわの作ってくれるオニオングラタンスープが一番好きっスわ」

思った事を言っただけなのに、みわは俯いて頬を染めた。
変わんないなぁ、そういうトコ。

「涼太」

「ん?」

「お誕生日、おめでとう。生まれてきてくれて……本当に、ありがとう」

「……こちらこそ、っスよ」

なんだろう、いつも言ってくれるセリフなのに、いつもよりずっとじんわりと沁みる。
オレもトシ取ったんスかね。

グラスにはお気に入りのワイン……と言いたいところだけど、注がれているのは、みわに合わせてグレープフルーツジュース。

コン、と優しい音を立てながらグラスを重ねると、薄黄色の液体が微かに波打った。

ああ、幸せだな。

なんでもない事が、こんなにも幸せだ。

「みわ」

「うん?」

「愛してるよ」




来年も再来年も、ずっとお祝いして。
アンタの隣でその笑顔を見る事が、オレの幸せだからさ。






♡Happy Happy Birthday Ryota Kise♡




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