第13章 Mic check!(黄瀬涼太)
「みわ……やっぱオレ、すげえ疲れた。癒して」
いつの間にかルームウェアワンピースの背中に差し込まれた器用な指が下着のホックを外し、服の中で胸が解放された。
指がそっと背すじをなぞる。
「あ……っ」
「ベッド、行こっか」
いよいよ力が入らなくなった私は、ただ頷くしか出来ない。
まるで夢の中みたいに、頭に靄がかかったままだ。
キスは継続したままベッドへ縺れ込む。
もう、身体が出来上がっているのがわかる。
まだ触れられてなくても、彼を求めてる。
胸に触れようとした涼太が、突然動きを止めた。
「……うーん」
「涼太……?」
「……なんかこうしてたら、あのモラ夫と同じ事してるような気がしてきた。セックスのことだけ考えてるわけじゃ、ないんスけど……」
「えっ、モラ夫って……最後の質問のひとのこと、だよね?」
突然涼太の口から出て来たのは、配信最後の質問者さんのことだ。
どういう、こと?
「いや、なんか偉そーに説教しておいて、結局やること一緒じゃんって思ったんスよ」
「え、ええ!? 突然なに、全然違うよ!? 同じところを見つける方が難しいくらいなのに!?」
あまりに驚いて、頭にかかってた靄が晴れた。
「マジで、最初はちょっとイチャイチャしようってだけなんスよ……マジ……毎度気付いたらスイッチ入っちゃってるだけで……」
しょぼんとした姿があまりに可愛くて、思わず吹き出してしまった。
「あ! 笑った! 理性ペラペラマンが何言ってんだって感じっスよね!?」
「ふふ、違う、違うんだけど可愛くて」
どっちかというと、いつも理性ペラペラで骨抜きにされているのは私なんだけどな……。
涼太だけがしたいって思ってるわけじゃないのに。
こんなに私を大事にしてくれるひとと、あんな酷いひとを一緒にしないで欲しい。
私が、愛情表現が苦手だからそう思わせちゃってるのかも……。
こんなに大好きなのに、うまく伝えられない。