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【黒バス:R18】with gratitude

第13章 Mic check!(黄瀬涼太)


『んじゃどんどんいこうかな。
【ぶっちゃけ、年収いくらですか?】
んー、これはね、同じ職業の人に迷惑がかかるからパス。ごめんね』

そう言ってから片手で軽く手刀を切って、再び視線をPCに向けた。

『お次はコレ、
【黄瀬君、こんにちは。お誕生日おめでとうございます。以前、奥様が一緒に実況した動画が好きすぎて、今でもエンドレスリピートしています。黄瀬君はもちろん大好きですが、奥様の声にめちゃくちゃ癒されます。もう一緒にやることはないのでしょうか? 新作を心待ちにしています】
……あー……』

「ぶっ」

クッキーの粉が変なところに入った。

結婚前に色々あったというのもあって、前述の通り、私の存在はファンの方にも一応認知はされているようで。

以前、涼太がうっかりミュートボタンを押すのを忘れてしまい、私と話す声が流れてしまったのがきっかけで、その後少しだけ一緒に配信に参加させてもらったことがあった。
視聴者さんは、その時の動画の話をしているのだろう。

『おお、コメントがすげえ。うんうん、うちの奥さんめっちゃ癒されるっスよね。分かる分かる。配信かぁ……向こうも忙しいからなかなか……皆のコメント見て奥さんがやる気になったらちょっと相談してみるっス』

涼太のその言葉を皮切りに、コメント欄が流れるスピードが加速する。
不思議なもので、文字のはずなのに流れるその様を見ていると、景色を眺めているような気持ちになる。自分に向けられたものとは到底受け止められない。

『次ね。
【黄瀬君、お誕生日おめでとうございます。今年から社会人になって、デスクワーク続きで毎日身体がガタガタです。良いストレッチあったら教えてください】
あー、オレもデスクワークすぐ肩凝るんスよね〜。こう、腋をグッと締めて肩甲骨を回すようにするといいっスよ、手軽に出来るし』

涼太がそう言いながら肩を回し始めると、コメント欄も同じようにやっている人たちに溢れる。私もつられて一緒に回してた。

【楽になったかもー】
【これなら仕事中もできる。私もやろっと】
【肩回すだけでこんなに絵になる人、いる?】
【なにこのご褒美タイム。けしからん、もっとやれ】

……思惑は人それぞれみたいだ。

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