第10章 Change……!?(黄瀬涼太)
ベッドサイドに置かれた涼太のスマートフォンの振動が、絶えず伝わってくる。
「涼太、電話じゃない?」
「なんだろ……いや、電話じゃないっスね。なんかすげえフォロー通知が来る」
「え? なんでだろう?」
雑誌の発売日だっけ?
それとも、テレビ放映日?
大体、メディア露出と同時にSNSのフォロワーが爆発的に増えたりすることが多いけれど、今日は特にそういった予定はない。
「なんか、投稿されてる……街でのファンへの真摯な態度を見て? ん? この写真……いつのっスかね」
「あ」
SNSに投稿された写真に写っているのは、涼太とファンの女性。
忘れるわけがない、昨日声をかけて来た方だ。
「これ昨日の、私だ……買い物に行った時にね、ファンの方に声かけられて、応援ありがとうございますってお伝えしただけなんだけど」
「『普段のフランクな雰囲気とは異なり、ファン一人一人に丁寧な対応をする姿が印象的』『なんだか嬉しそうに走る姿は子どものようで、ギャップが可愛い』……ぷ、バッチリ撮られてるじゃないスか」
「う、う、わ、私だ……」
迂闊だった。
目の前のことしか見えていなかった。
変な所を撮られていないだろうか。
「SNSで拡散されてなんかフォロワー数めっちゃ増えてるっスわ」
「わ、どうしよう、本当にごめんなさい」
「謝ることないっしょ。人気になって損することなんて別にオレにはないし。みわはオレの勝利の女神サマっスからね」
ああ、この笑顔だ。
神様、涼太に出逢わせてくれて、ありがとうございます。
当たり前の毎日が、どれだけ貴重なものかを実感した。
これ以上何かを願ったら、贅沢すぎてバチが当たりそうだけれど……願わくば、ずっとずっと隣にいられますように。
こうやってまた来年も、お祝いできますように。
大好きな香りを、胸いっぱいに吸い込んだ。
Happy Birthday,RYOTA♡♡♡